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奥秩父山塊

2005年11月26日 (土)

甲武信ヶ岳、遥か遠く…

西沢渓谷に行った翌週、僕と友人は大弛峠(おおだるみとうげ)から入山して甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)をテント泊で攻めようと再び塩山へ向かった。

南関東からは西沢渓谷から入山するのが一番短距離だけど、爽やかに稜線歩きを楽しみたかったので、大弛峠→国師ヶ岳→東梓→富士見→水師→甲武信ヶ岳と、奥秩父主稜線の一部を歩くルートを選択。へたれサラリーマンが66リットルのザックを背負っていくにはちょっと距離が長いかな。カメラとレンズと三脚を担いでいるので20キロ近い重量だ。

家を出るときは前日の夜からの雨が降っていたけど、夜が明ける頃には止んでいたし、ピンポイント天気予報でも午前9時ごろから晴れることになっていた。中央本線の窓から空を見上げると雲が切れてきて陽光が差し込んできていた。爆睡していた友人を起こして「これはいい山行になりそうだ」と喜んだ。

ところが、塩山駅からタクシーに乗るとき「大弛峠まで」というと、運転手さんは「大弛は雪が積もっているから、スタッドレスタイヤに履き替えなくちゃ。事務所に一旦戻るからちょっと時間をちょうだい」と言う。ただ、「そんなに積もってはいないから、登れなくもないと思うよ」とも。大丈夫かな。タクシー会社の事務所まで一緒に行き、タイヤ履き換えまでしばし休憩。

少し躊躇はしたものの「行ってみないことには分からない」ってことでとりあえず大弛峠へ向かってもらうことにした。タクシーが林道をずんずん進んでいくに従って天気も良くなる。これはいい感じだ。もう少しで富士山も見えそう。運転手さんの口も滑らかに奥秩父の山々のことを語り出したら止まらない。気持ちが高揚してきた。

どんどんタクシーが標高を上げていくともっと天気が良くなる。腕時計の気圧高度計を見ると1,500メートルを差している。いい感じ。しかし、さらに進むとガスがたれこめはじめた。うーん、大丈夫だろうか。「ここは沢沿いの道だからガスが出やすいんだよ」と運転手さん。そっか、それならしょうがない。

しかし、さらに標高を上げていくとガスは切れることなく、山肌には雪がちらほら見え始めた。標高2,000メートル。さらに進んでいくと大弛峠のそばにいくころには道路にも雪が積もっていた。標高2,300メートル。空は鉛色。標高2,000メートルを境目に世界が変わった印象だ。「やっぱ、山上は下界より一段天気が悪いと思ったほうがいいね」と友人。確かに。

うーん、登るべきか引き返すべきか。とりあえず少し歩いてみて決めようということで、タクシーの運転手さんに別れを告げる。寒い。いちおう冬山対応の装備で臨んでるんだけど、雪が積もってガスっているとかなり不安。僕には雪山経験なんてないのだ。雪の季節はゲレンデのスキーとかスノーシューでお気楽高原歩きをしたことがあるくらい。

準備を整え、大弛小屋の脇を通って雪の積もった登山道を甲武信ヶ岳方面へ行く。ちょっと服着込み過ぎて暑い。一枚シャツを脱いで調節。ザックが重くてこたえる。同じ重さのザックで大倉尾根トレーニングでもすべきだったなと反省。前方にご夫婦登山者発見。ちょっと安心。でも、奥北千丈岳と国師ヶ岳に行ったら戻るらしい。

一時間ほどで国師ヶ岳(2,592m)に到着。一等三角点なのにガスで展望はない。残念。

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ここで昼飯前の食事をとる。樹林帯を抜けて山頂に着いたので風が少し強くなって寒い。足先が冷たくなってきたし、この先の稜線歩きが不安になってきた。稜線歩きは天気が良いときは気持ちいいけど、悪天候のときは風が強くて怖いのだ。ここで大弛峠に戻って下山することを決意。自分の能力と装備に合わせた判断。

下山を決めたら気が楽になる。でも大弛峠から塩山駅までのタクシー代が\12,000くらいするのがきついなぁ。甲武信ヶ岳からの下山は西沢渓谷に出てバスで塩山駅まで帰る予定だったのだ。せっかくここまで来たので、主稜線から少しそれて奥秩父最高峰の奥北千丈岳(2,601m)に寄っていこう。

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周囲にさえぎるものがないので風が強く寒い。ハイドレーションシステム(水嚢をザックに入れてチューブで水を吸うもの)のチューブの中の水やカメラのレンズフードの先が凍りついてきた。岩に雪が吹き付けられている。

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樹氷もしっかりできている。マジ冬山モードだ。

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すごく寒くなってきたし雪景色も堪能したのでそろそろ下山。ここから大弛峠までの下りは登山道が凍結しているので、練習を兼ねて6本爪の軽アイゼンを装着。友人から歩き方の指導を受ける。内側の爪でふくらはぎを引っ掛けないように、ガニ股で足を外から回して歩を進める感じ。

大弛峠までなんとか下山したものの携帯の電波が届かないことが発覚。ううっ、やばい。徒歩で携帯電波が入るところまで行くと日が暮れてしまうかもしれない。途中で幕営か?大弛小屋なら電話があるかもしれないということで、電話をかけさせてくれるようお願いをしに行く。

運よくご主人は小屋にいてくれたが、もはや一般の登山シーズン終了と判断して無線電話は撤去したとのこと。ますますやばい。腹を決めて歩き出そうとしたところ、ご主人が後を追ってきてくれてタクシーを呼んであげようという。携帯も無線電話もダメなのにいったいどうやって?何か奥の手が?

あれれ?ご主人たらご自分の携帯でタクシーを呼んでくれている。試しに僕も小屋の周りを歩き回ってみたら電波が入るスイートスポットがあった。バリ3だ。あとで帰りのタクシーの運転手さんに聞いたら、小屋の駐車スペース辺りと大弛峠駐車場の奥の一部なら安定して通話可能とのこと。知らない人は携帯電話NGと思っちゃうよなぁ。

小屋のご主人の話ではもう雪が降ったのでこの週末で小屋を閉めるとのこと。「今夜もきっと雪が降る」とも。下界で出ている天気予報は当てにならないのは分かっているけどここまでとは…。次の週に来ていたら本当にやばかった。携帯が使えることを知らず、電波を求めて一泊二日かけて下山していたかもしれないんだから。

タクシーが来るまで1時間半くらいかかるので、その時間で行けるところまで歩いていく。道路から雪が消えるところまでは行けるだろう。凍りついた赤い木の実がけなげだ。なんの実だろ?ナナカマドの実かな?植物に詳しかったら山歩きの楽しさは倍増だろうな。

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1時間弱歩いて道路に雪がないところまでたどり着いた。お腹が空いてきたので昼飯にする。落ち着く。お湯を沸かしてスープでも飲もうとしたところでタクシーがやってきた。これで今日中に帰宅できる。

タクシーの運転手さんは陽気だ。行きの運転手さんと同じく奥秩父の山々について語りだす。「私に事前に連絡くれれば登山前日にタクシーの事務所に泊めてあげられるよ。シュラフ持ってまた来年いらっしゃい。駅で寝るより快適に眠れる」とも。さすが山度が高い地域のタクシーだ。

帰宅前にひと風呂浴びて凍えた体を温めるべく、塩山温泉・宏池荘までタクシーで行ってもらう。ここには\300で入れる共同浴場がある。休憩所はないけどリーズナブルだ。お湯に浸かるとじわわ~っと暖かい。幸せ。この瞬間のために生きているって感じ。言い過ぎ。

いいお湯をいただいて夕飯のほうとうを食べ家路につく。初戦敗退な感じで歩き足りなかったけど、なかなか思い出に残る山行だった。

【教訓】 11月の2,500m級の山はある日突然冬山になる

2005年11月20日 (日)

西沢渓谷

もう二週間前になりますが、西沢渓谷(山梨県)の風景をお届けします。時が経つのは早い…。

先々週土曜は好天に恵まれたうえ紅葉絶好調。すごい人出で渓谷をめぐる狭い道は数珠つなぎ状態。水が綺麗にエメラルドグリーンに見えるところは押し出されるようにして歩いたし…。

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人が少ないときならもっと落ち着いて景色を楽しめるのだろうなぁ。来年の新緑の季節、平日に休みをとってまた来たいなと。

渓谷を一巡りしたあと下山道から甲武信(こぶし)ヶ岳方面を見ると黄葉が稲穂みたいでなんだかほのぼの。

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しかしながら、葉っぱ一枚一枚をよく見てみると紅葉の色づきはいまひとつ。夏の台風連発の影響らしい。とはいえ、最近人が植えた麓の樹の紅葉の色づきはなかなかもの。高山に自生している樹が美しく紅葉するというのは貴重なんだなぁ。

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ところで、西沢渓谷のコースに入ってすぐのところ甲武信ヶ岳への登山道を二つ発見。戸渡尾根登山道(沢筋の道)と徳ちゃん新道(尾根に乗る道)。この次の週(=先週)は雲取山にテント泊山行の予定だったのだけど、友達がこれに刺激されて甲武信ヶ岳モード。急遽、大弛(おおだるみ)峠から入山して甲武信ヶ岳へプチ縦走することに計画変更。

しかし、この日の「甲武信ヶ岳からのお誘い」に乗ってしまったことが、次週の「初戦敗退」につながるとはこのときの僕らは知る由も無かったのでした…。